栗の無垢材ならではの陰影に木目が映える掛け時計

朝日の爽やかな日差しから月夜の薄明りなど室内に差し込む光の変化は、ラウンドした彫り込みに様々な陰影を生み出し、栗の木の木目を美しく堪能できる時計にしました。日々の光の変化だけでなく、季節による光の強弱で時計の印象も時の移ろいの中で楽しめます。

多くの人にとって「栗」と言えば、食材としての栗を思い浮かべると思いますが、栗材は水や湿気に強く、防虫・防腐処理をしなくても長期間使える耐久性があります。世界遺産になっている白川郷の合掌造りの主要部材のほとんどが栗材です。また、鉄道の枕木にも使用されてきた強い材です。近年は、資源量の不足から入手しづらくなっていますが、波打った輝く縞模様が見る角度によって現れる縮杢（チヂミモク）のある希少な栗の木をこの時計に使用しました。

この栗の木の厚さは33mmあり、無垢材でしかできないラウンドした彫り込みは、光の変化を感じられる陰影をつくり出します。丸いラウンドした彫り込みは、部屋に差し込む光の変化だけでなく、見る角度、位置によっても時計の印象に変化を与えます。これによって、木目の見え方だけでなく、冬の柔らかい光では栗の木の温かさ感じるなど、時計の印象も季節の移ろいの中で楽しめる時計となりました。そして、全体の陰影の変化を損なわずに時計としての機能を果たせるように彫り込みで目盛りを刻み、目盛りも陰影によって見やすくしました。仕上げは、陰影の中で木目が際立つよう光沢を抑えるために蜜蝋クリームで仕上げました。

ムーブメントには、セイコークロック株式会社製のものを使用しているので、安心してお使いいただけます。そして、カチコチ音のしない滑らかな動作のクオーツ時計（スイープ）なので、寝室の時計にもご利用いただけます。また、可能な限り無垢板の中に埋め込み、壁に取り付けたときのでっぱりを少なくするようになっています。ムーブメントのまわりに隙間があるのは、将来のムーブメント交換の際にどのようなものとでも交換できるようにとの配慮から大きめに加工しています。壁へのあたり部分は、壁を保護するようにフェルト仕上げになっています。